- 永井研究室にようこそ。当研究室では最先端の 3次元アトムプローブ(APT)や 集束イオンビーム(FIB)、 透過電子顕微鏡(TEM)などを使いながらナノレベルの研究をしています。
放射線を材料に照射すると、様々な欠陥(照射欠陥)が形成されます。この照射欠陥は材料の劣化に密接に関係しています。当研究室は、茨城県大洗町にある 金属材料研究所 附属量子エネルギー材料科学国際研究センター に所在して、様々な照射欠陥の形成メカニズムやそれらの機能解明を目指しています。
我々は、APT法と陽電子消滅法というユニークな手法を駆使し、原子スケール分析を通じて原子炉材料の脆化に大きく関与している微細な照射欠陥や、 不純物・溶質原子クラスター等の解明を行っています。 APT法は、材料中の原子1つ1つを検出してその3次元空間分布を得ることが出来る分析手法で、 微細析出物や原子配列の向きが異なる境目(結晶粒界)に集まっている元素などを調べることが可能です。 陽電子消滅法は、APTでは観測できない原子の抜け穴(空孔型欠陥)を敏感に検出できる手法です。
APTによる分析は、原子炉材料に留まらず、半導体デバイス開発等の他分野にも大きく貢献しつつあります。 情報化社会を支える半導体デバイスはトランジスタの構造を微細化することで性能の向上が図られ 現在ではゲート長と呼ばれる部分が数十ナノメートル(数億分の1m)以下まで小さくなっており、 基板にはシリコン原子10万個に対してたったの数個のドーパントしか添加されていません。 本研究室ではAPTという装置を使ってナノメートルの位置精度でドーパント分布を評価しています。